彼の嘘 彼の本音
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「…寒っ。」


季節は、11月。


…今からどうしよう。


父親の目を盗んで逃げてきた。


こんな時、大樹先輩に頼ることもあった。


ありがたいことに、大樹先輩の部屋を貸してくれて、


大樹先輩は友達の家に泊まりにいってくれていた。


「いつでも言え。」と言ってくれる大樹先輩にも言えなくて、なんどかネカフェで過ごしたこともあった。


今日は、ネカフェにでも行くかな。


制服だと注意されてしまうけど、幸い私服だしバレずに泊まれるかな。


そう思って、何軒かあるネカフェに向かう。


途中のドラッグストアで必要なものをいくつか買って、

あぁ、バッグを忘れず持ってきてよかった、と思う。



後はネカフェに向かうだけだと、まだ痛みの残る足を動かす。


どこでもいいから、早く温かい場所で休みたい。


いや、ほんとは家で休みたい。


でも、今日はあの父親がいるからダメだ。
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