彼の嘘 彼の本音
まだ夕方のこの時間帯、人がたくさん行き交う。


ドラッグストアの化粧品コーナーの鏡で確認した自分の顔。


マスクで隠して、知り合いに気づかれないように、下を向いて、人を避けるように進む。


誰にも会わないよう願っていたのに、



「夢ちゃん?」

「…っ、」

「だ、よね?…あ、やっぱりそうだ。」

「…樹くん…。」


あたしの前に、スラッとかっこいい、樹君が立っていた。


「一人?」

「あ、うん。」

「そっか。…大丈夫?」

「え?」

「あ、なんかほら、フラフラしてたよ?」

「え。そう?」

「うん。気になって見てたら夢ちゃんだった。」

「あ、…そっか。ありがとう、心配してくれて。」

「いや。」

「…じゃあ。えと、行くね。」


そう言って、樹君と別れようとすると、
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