彼の嘘 彼の本音
人通りを避けて、息を落ち着かせる。


そうだ、LINEしておこう。


そう思ってスマホを取り出す。


送ってくれなくていいよ、そう打っていれば、


「夢!夢っ!」


……え?


「夢っ!」


…え、と、


「藤真君!?」


「っ、夢?あ、…はぁ…、っいた。」

「と、うま、君…、」


今、あたしの事、


「後ろ向いたらいなかったから、焦った。」

「…あ、あの、」

「見失ったと思って、すっげぇ、慌てた。」

「…あ、ご、ごめんなさ、」

「謝らなくていい。」

「…、」

「っはぁぁぁ、」

「…。」


じっと、あたしの顔を見て、


「良かった…。」


困ったような、安心したような、そんな顔して、藤真君が笑った。




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