跪いて愛を誓え
「……さ、さあ、ビンゴ大会が始まってしまいます。ヒロさんも青葉も、一先ず会場に戻ってください。後は私がやりますから」
無理に笑顔を作った湯田さん。ヒロはその言葉に、ゆっくりと部屋を出て行こうとした。だけど湯田さんの横を通り抜ける時、くるりともう一度こちらへ振り向き笑みを見せる。
「――――これからが、楽しみだな」
ヒロは大きな笑い声を響かせながら、庭園の方へ行ってしまった。
「……何が、あったんですか?」
「和泉の事が、ヒロにバレた……」
「ええっ?!」
「和泉はもう、会場へ行かせない方がいいだろう。湯田さん、このままこいつ、マイクロバスに匿(かくま)っといてくれ。俺は園遊会に戻って、ヒロがおかしな事しないか監視しとくから」
「わ、分かりました」
目の前で青葉と湯田さんがテキパキと今後の事を決めて行く。私は……
事の深刻さに気が付いて、急激に身体が震えだす。ヒロに触れられた気持ち悪さも、思い出してしまい。何だか背筋がゾクゾクしてきた。
「……あ、青葉」
彼の掛けてくれた羽織に包まりながら、震える声で名前を呼んだ。それに気が付いた青葉は、私の方へ来てくれて、ポンと頭に手を置いて。
「そんな顔するな、大丈夫だ。お前はバスで昼寝でもしてろ」
ポンポンと、叩く青葉の大きな手。優しい手……