跪いて愛を誓え
ジャスティスとの勝負に負けたらティアーモは閉店。
ヒロがうっかり漏らしたその話は、ティアーモのみんなに激震をもたらした。だけど、湯田さんが上手くそれを治めてくれた。勝負への士気も高まり、今のティアーモはやる気に満ちている。
でも……私の気持ちはぐらぐら。
見せつけられた、ヒロの野心。
本当にジャスティスに勝てるのだろうか。考え込んでいても何も解決しないし、分からないけど。それでも言い知れない不安が私を取り込んでいた。
「――――スイさん、少しいいですか?」
勝負二日目。一部営業が始まってすぐに、私は湯田さんに後ろから声を掛けられた。丁度、従業員用のトイレ掃除をしようと準備をしていた時だった。
また、何か問題が起こったのだろうか?!
ギクリとして振り返ると、そこには困り顔の湯田さん。やっぱり何かあったんだ。
「どうしたんですか?!」
「いえ、あの……スイさん、五分だけヘルプとして接客に出てもらえませんか?」
私は今はヘルプでも接客には出ていない。それは湯田さんもよく分かっているはずなのに。
「五分……? どういう事ですか?」
「それが……」
理由を話し始めた湯田さんの眉は、ほとほと困り果てたという風にますます歪んだ。