跪いて愛を誓え
初がソファでうつらうつらと居眠りを始めた頃、入り口のドアが開かれた。まず入って来たのは、道明寺店長。
「お待たせしてしまってすみません。少し店でトラブルがあったものですから」
ジャスティスで何かあったのだろうか。道明寺店長の表情は、いつもの余裕たっぷりさが無く、機嫌が悪そうに歪んでいる。そのすぐ後に、ヒロの姿。彼も何故か道明寺店長と同じ様な顔をしていた。
そして、ヒロの後ろから、思いがけないもう一人の人物。
それは――――昨日来店した、ルイ十三世のマダムだった。
どうして……どうして彼女が二人と一緒に来たんだろう……?
これには青葉も湯田さんも驚いている。他のみんなは、彼女が誰だか分からなくてザワザワしているし。
マダムは道明寺店長を押しのけて私たちの前へ出ると、深々と頭を下げた。
「初めまして。ご挨拶が遅れて申し訳ありません。私はジャスティスのオーナー、道明寺 正子(どうみょうじ まさこ)と申します」
ジャスティスのオーナー?!
しかも『道明寺』って……
「店長の道明寺 正宗(どうみょうじ まさむね)は私の息子です」
みんなの疑問を解消するように、マダム――――正子さんはにこやかにそう言った。