跪いて愛を誓え
話しがあるとの正子さんの言葉で、場所を事務室へ移した。部屋に入ったのは、私と湯田さんそして青葉。ジャスティス側は正子さんと道明寺店長とヒロ。
他のみんなは、時間も遅い事もあり帰ってもらった。今回の結果が気になるとの声もあったが、それはまた二部営業前のミーティングで、という事に。結果が気になり不満を漏らす者もいたが、ジャスティスの正子さんが、今はまだ開示しないと言うと何とか諦めてくれたみたいだ。
私は男装『スイ』のままだったので、一度みんなと帰ったふりをした。そして人がいなくなってから、とりあえずウィッグを取って『相良 和泉』として改めてお店へ行き事務室へ。
男だったはずのスイが女性になって部屋へ入って来た事について、正子さんは何も言わなかった。きっと先に、湯田さんが説明してくれたんだろう。
事務室にある応接ソファに三対三で向き合って座ったが、ニコニコしているのは正子さんだけ。他のみんなは、難しい顔で見つめ合う。ヒロに至っては、それすらもしないで完全にそっぽを向いてしまっていた。
空気が重い……
緊迫した空気の重さに、私も眉を顰めた。
「――――このような深夜に、お時間を取っていただいて、申し訳ありません」
その空気を破ったのは、正子さんだった。丁寧な口調でそう言うと、頭を下げた。