跪いて愛を誓え
「ありがとうございます、そう言っていただけると気が楽になります。ティアーモとは、これからも切磋琢磨し合ういい関係でいたいと思っておりますので」
ジャスティスといい関係……ちょっと考え難いけど。でも正子さんは穏やかで優しそうで。ヒロみたく敵対心をむき出しにしていないから、それも不可能な事ではないのかもしれない。
「それで、今回の勝負の事ですが……」
正子さんは真っ直ぐに私を見つめた。
「私の方では、イベント自体はともかく、それ以外の事――――賭けやその原因は全て無かった事として収めたいと思っておりますが……」
全部、無かった事に……
正子さんの言葉に、ヒロと道明寺店長は異議を唱えたが、彼女はそれを視線だけで黙らせた。どうやら正子さんには二人とも、敵わないみたいだ。
でも、その気持ちは少し分かるかも……
正子さんの持つ威圧感……というか、圧倒的な迫力はNO.1ホストでも勝てそうに無い。
「全部無かった事にするなら俺は賛成だ。もちろんそれは、引き抜きの事もこいつの男装の件もって事だよな?」
青葉が確認するように言うと、正子さんは当然だ、という様に頷いた。
「ティアーモの店長として私も、そうして頂けるのが一番だと思います。和泉さんはどうですか?」