跪いて愛を誓え
 おばあちゃんがそんな事を考えていた事に驚き、それに私を選んでくれた事にまた驚いた。

 おばあちゃんには息子が四人もいて、私のお父さんは一番下の末っ子。もちろん他のお兄さんも結婚して子供がいて、孫は結構な人数がいる。

 有名大学を卒業した孫もいるし、一流企業で成功している孫も。結婚してたくさん子供を産んで幸せになっている孫もいて。

 そんな中でたぶん、一番平凡で一番目立たない私なのにちゃんと見ていてくれたんだ。

 そして、ティアーモを残してくれた。

 何だか涙が溢れそうになってしまった。それを堪えてグッと唇を噛み締める。


「私……出来るでしょうか。おばあちゃんみたいに……」

「昨日も言ったでしょう? 貴方は自分で思っているよりも本当は、ずっとずっと強いのよ。身体の中にある愛情や優しさは、自分を強くしてくれる」


 そうか……それがおばあちゃんの言う、キラキラの塊なのかもしれない。


 正子さんは昨夜、私が男装している事を分かっていて、ヘルプに指名してくれたんだ。おばあちゃんの跡を継ぐ、私を見定める為に。


「それに、伊吹さんと同じになる必要は無いわ。貴方は貴方のままでいいのよ」


 私は私のままでいい。

 いつか、青葉にも同じ事を言われた気がする。

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