跪いて愛を誓え
 正子さんは強いと言ってくれるけど、私は今はまだ弱気でふにゃふにゃで、みんなに迷惑ばっかり掛けていて。それでもおばあちゃんは、私に跡を託してくれた。

 膝の上で握っていた手に、ぎゅっと力を入れた。

 青葉を見ると、声を出さずに口をパクパクしてる。きっとまた『ばーか』って言ってるんだ。


 でも、『馬鹿な私でいい』って言われた気がした。


「……あの、正子さん。一つ質問があるんですけど」

「何かしら?」


 正子さんを真っ直ぐに見据えると、彼女もまた真っ直ぐに私を見つめた。


「勝負の事をどうするか決める前に、知りたいんです。今現在で、結果はどうなったのか」


 最終決戦は、この後の二部営業終了までだ。だけどこの話の流れでは、きっと二部営業ではもう勝負は無いだろう。だから今の時点でどうなっているのか知りたかった。

 ティアーモは勝ったのか、負けたのか。

 正子さんは頷くと、道明寺店長から一枚の売上報告書を受け取り、私に差し出した。それには今までの累計も書いてある。それを見て、湯田さんも持っていたティアーモの売上報告書を私に渡してくれた。

 それぞれの、今日の一部営業の数字を見比べる。そしてその次に、累計の数字。

 全てを確認すると、私はそっと目を閉じた。
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