跪いて愛を誓え
13* 愛してる
 天井に向かって積み上げられたシャンパンタワー。幾つもあるテーブルの上には、高いのから安いのまで、様々なお酒のボトルが乱雑に並べられ、そのどれもが空になっている。

 テーブルには他にも、普段は出ない様なスペシャルなフルーツの盛り合わせやナッツ。誰かが頼んだのだろう、デリバリーのピザまで食べ残してあった。

 足元の真紅の絨毯には、カラフルな紙吹雪やクラッカーの残骸が散らばっていて、さっきまでの盛大な宴の名残を残していた。

 みんなよく笑い、騒ぎ。そして泣いた。


 でも今はもう営業が終わり、誰もいない店内。片付けは明日湯田さんが手伝ってくれる事になっているから、みんなもう帰ってしまった。

 さっきまでの喧騒が嘘みたいだ。照明は一番大きなシャンデリアを残して全て落とされ、いつもより薄暗い。私はそのシャンデリアの真下の席で一人、男装姿でソファに座っていた。

 もう誰もいないからと思い、着けていたウィッグを外した。あんなに煩わしかった男装用のウィッグも、もう着ける事も無いだろう。

 ジャスティスとの勝負の最終日。オーナーの正子さんとの話し合いからもう、一ヵ月が過ぎていた。


 そして今夜は――――ティアーモ最後の日だった。















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