跪いて愛を誓え
 開店と同時に初によって店内に押し込まれた私は、たくさんのキラキライケメンを目の前に立ちすくんでいた。みんなビシッとスーツを着て笑顔。


「いらっしゃいませ、お姫様。今日はご指名はございますか?」


 一人がずいっと私に近づくと、そんな事を言った。


「い、いえ……私は……あの……」


 指名なんて無いよ! それに『お姫様』って何?! 


 踵を返して全力で逃げたかったけど、後ろから別のお客が入って来て出入口には向かえそうに無い。目の前のホストさんは、私の答えを笑顔で待っている。絶体絶命。

 その時――――


「――――その姫は、俺のものだから」


 店の奥から悠然と歩きながら現れたのは、この店ティアーモのNO.1ホスト、青葉。

 彼が現れたとたん、店内の客からざわめきと歓声が上がった。

 私が店の外へ連れ出された後に着替えたのだろう、会った時のラフな服装から黒のスーツ姿に変わっていた。でもみんなと同じ色のスーツなのに、どうしてか青葉だけ違って見える。

 キラキラとした光を、全身にまとって。間接照明の薄暗い店内なのに、彼だけが輝いて見えた。

 これがNO.1ホストというものか。他の人とは違う、圧倒的なオーラ。
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