跪いて愛を誓え
 ホストクラブのホストなんて、高いお酒をお客に飲ませていかにお金を巻き上げるか、って事しか考えて無いと思ってた。後はヤり目とか。

 何だか少し関心してしまった。


「――――って、全部ばーさんの受け売りだけどな。それに、ここで夢を見るにはそれなりに金も必要だ」


 ……何だ、やっぱりおばあちゃんか。


 でも、おばあちゃん、そんな事を考えていたんだ。ただの『ホストクラブ』じゃなくて、夢の城にしたかったんだ。

 昔から、誰も考え付かないような事を突然したりするおばあちゃんだった。ハワイに行きたいと言って、一人で二週間も旅行へ行ってしまったり、近所の人たちを集めて朝市を作ったり。そんな事に何度驚かされた事か。

 だけど……誰かが困っていたら、必ず助けてくれる。そんな優しいおばあちゃんだった。

 このお店も、そうなのかな。

 ホストクラブ、っていうのが何ともおばあちゃんらしいけど。何処かで困っている誰かの為に、この『ティアーモ』を作ったのかもしれない。

 何だかそんな気がした。

 それから、すっかり落ち着いた私は青葉とおばあちゃんの事をいろいろ話した。

 彼のホスト名『青葉』は、おばあちゃんが付けた事とか。『青葉』なんてホストっぽく無いと思ってたけど、おばあちゃんが付けたなら納得。あと、月に一回ぐらい東北からお店に顔を出していた事とか。
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