跪いて愛を誓え
「だいたい、オーナーになっても自分が遊んだそんな金額の金、勝手に使えるわけないだろ。それに、店の金の管理は店長の湯田さんが全部やってるんだ。そんなアホな金、ほいほい小娘に出さねーよ」
お店のお金の管理はおばあちゃんの頃から、店長の湯田さんが全部仕切っているそうだ。湯田さんは雇われ店長だけど、お金の事はきっちりしてて。働いているホストが給料の前借りを頼んでも、よほどの理由が無ければ出してはくれないらしい。
最後の希望が断たれ、八方塞がり。
こうなったらもう、何処かでキャッシングするしかないのかなあ……でも無職の私にお金を貸してくれる所なんてあるんだろうか。
がっくりとうなだれた私とは対照的に、青葉はにやりと笑った。
「心配するな、和泉。そんな事だろうと思って、俺が立て替えてやったから」
――――え? えええ?!
青葉の言葉が、神様の啓示のように聞こえた。
さっきから『ばか』呼ばわりばかりされ続けていたけど、昨夜の王子様ホストは健在だったんだ。それにしても流石NO.1ホストだ。ポンと百八十万円も立て替えられるなんて。
「返済期限なんて無い。だからお前は俺にゆっくり返してくれればいいから」
「あ! ありがとうございますっ!!!」
ひれ伏すように全力でお礼を言った。