跪いて愛を誓え
「何言ってるの?! 私、女だよ! ホストとして働くなんて出来るわけないじゃない!!」
「大丈夫だよ、ちょっと髪型変えてスーツ着れば、意外とバレねーよ」
そりゃあ薄暗い店内なら、ウィッグ付けてスーツ着れば、女顔のちょっと小柄な男の子ぐらいには錯覚してもらえるかもしれないけど……
「でも……」
思わず胸に視線を落としてしまった。だって、胸がある男なんていないよ!
私の様子に気づいた青葉は、失礼な事にそれを鼻で笑った。
「そんな発育不良の貧相なもん、ベストでも着てれば誰も気が付かねーよ」
そっ! そんなにハッキリ言わなくてもいいじゃない!!
そりゃあ、全然胸は大きくないけど。昔からちっともブラのサイズ変わらなくてコンプレックスにもなっていたけど。
そんなにキッパリはっきりざっくり、私に現実を突き刺さなくてもいいじゃない!
もう半分、涙目になっていた。
それでも青葉は容赦なく、私に止めを刺す。
「決まりな、お前は今日からティアーモのホストだ。奴隷の和泉に拒否権は無い。借金返済まで、俺がお前のご主人様だ」
「……ご、ごしゅじんさま」
「ご主人様の施しが欲しいのなら、跪いて愛を誓え」
青葉は私を見下ろしながら、悪魔のように微笑んだ。
――――そうして私は。
初めてホストクラブデビューした次の日の朝、ホストデビューもする事に決まってしまったのだった。
◇