跪いて愛を誓え


「ああ、他のホストは同伴もアフターもやりますけど、青葉さんはそういうのは絶対やらないんです」

「ええ?! そうなの? それでもNO.1ホストなんだ……」


 私も少しはホストについて勉強したんだ。だから、お客さんとデートしてから一緒に出勤する『同伴』と、営業後にお客さんと食事に行ったり他の店で飲みなおしたりする『アフター』が、ホストには結構重要なのは知っていた。

 だけど、青葉はそれを一切やらないなんて……


「凄いッスよね~! それでも指名バンバン取れちゃうなんて、流石、青葉さんッス!」


 初は頬を少し赤らめて、羨望の眼差しで去って行く青葉の背中を見つめている。青葉は他のホストにも人気があるのか。

 ますます意外だ。


「じゃあ、そろそろ部屋に行きましょうか。実は俺もここに住んでるんッスよ!」

「あ、そうなんだ……」


 だから青葉はこの初に私を押し付けたのか。


「あ! 自己紹介忘れてました! 俺『初芽(はつめ)』って言います。みんな『初』って呼ぶんで、それでいいですよ~!」


 またニコニコして自己紹介してくれた初。でも私は心の中で、もうとっくに脳内ではそう呼んでたよ、と突っ込んでしまった。









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