跪いて愛を誓え
「スイ君の無事が分かったから、私たちもティアーモに行こうかと思ったんだけど……また迷惑になるといけないから、営業が終わってスイ君が出てくるまで待ってたんだよ」
待とうと言ったのは園子さんだったらしい。営業が終わるまでだと、終電も無くなっちゃうのに。そんな二人の気持ちが嬉しかった。
「ありがとうございます、心配かけてすみませんでした」
「ううん、私は何も。スイ君を待つって言ったのは、園子なんだよ」
金髪さんが肘で園子さんをつつくと、彼女はおずおずと私の前へ。
「あの……どうしても……どうしても、ちゃんとお礼が言いたかったの。スイ君とは今日初めて会ったのに、ここまでしてくれて……本当にありがとう……!」
園子さんの声は、今までの消えてしまいそうな弱々しいものでは無く、はっきりとした大きな声。それだけの声が出せるくらい元気になったという事が嬉しい。
「お金は、次の給料が出たらすぐに返しに来るから!」
園子さんの言葉に、私は首を横に振った。
「ダメですよ、園子さん。お給料が出たら、それでちゃんとご飯を食べて、ちゃんとした生活をして、元気になってください。俺に返すのはそれからで良いですから」