跪いて愛を誓え

05* 夢を叶える年齢制限

　せっかくの休日だったのに、煩い携帯の着信音で起こされた。それは、久しぶりに名前を見た、幼馴染みの千紗(ちさ)からの電話。近所に住んでいて、幼稚園から高校まで、ずっと一緒だった。私が会社を辞める前は、別の会社に勤めていた彼女とよく遊んだりしていたけど。

　そういえば、辞めた事も引っ越した事も何も連絡していなかった。

　寝ぼけながら電話に出ると、千紗は早口でまくし立てる。


『――――和泉！　あんた実家を出たって何で言ってくれないの？！　それに、会社も辞めて居酒屋経営ってどういう事？！』


　姉御肌の千紗は、お母さんより煩い。


「ごめん、ちょっとバタバタしてて、千紗に言うの忘れてた。でも、何でそれ知ってるの？」

『さっきあんたの実家に行ってきたからよ！！』


　千紗は幼馴染みだけあって、実家にもよく出入りしていた。だからお母さんとも仲良しだ。私が留守の時も突然家に来て、お母さんと盛り上がっている事もある。


『とにかく、部屋の場所を教えて！　今からあんたの部屋に行っていいでしょ？！　いろいろ話を聞かせてよ！』