バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「う……うぅ……」
やがて涙もようやく枯れたのか、嗚咽が徐々に鎮まっていった。発作のようにしゃくり上げていた息を整えてから、彼女が小さな声で話し出す。
「自宅に電話しても、いいですか?」
声はガラガラだし、ものすごく苦しそうな鼻声だけど、ティッシュで涙を拭きながらしっかりした口調で話している。
「ご両家やあなた方に、謝罪と賠償をしないといけませんから。両親と顧問弁護士に相談したいんです」
彼女のその言葉を聞いて、私はホッとした。
いつかきっと、この人は立ち直れるだろう。心の傷が完全に癒えたわけじゃないけど、にっちもさっちもいかない状態から、こうして一歩前に進めたんだから。
「それでは、あなたが誠意を持って謝罪する意思があるという旨をご両家に伝えてまいります。このまましばらく、この場でお待ちください」
副社長がそう言って彼女に一礼し、書斎の間から出て行く。
入れ替わりに入ってきた男性スタッフに彼女を任せて、私も部屋を出て、廊下の反対側のブライズルームへ急いだ。
ご両家がお式を続けるなら、この後すぐにドレスチェンジすることになる。あんな滅茶苦茶になってしまったお部屋で、花嫁様にお色直しをさせるわけにはいかない。
さっき本館に向かったメイクさんがドレス一式を揃えて戻って来るまで、そんなに時間はないはず。急いで片付けなくては。
やがて涙もようやく枯れたのか、嗚咽が徐々に鎮まっていった。発作のようにしゃくり上げていた息を整えてから、彼女が小さな声で話し出す。
「自宅に電話しても、いいですか?」
声はガラガラだし、ものすごく苦しそうな鼻声だけど、ティッシュで涙を拭きながらしっかりした口調で話している。
「ご両家やあなた方に、謝罪と賠償をしないといけませんから。両親と顧問弁護士に相談したいんです」
彼女のその言葉を聞いて、私はホッとした。
いつかきっと、この人は立ち直れるだろう。心の傷が完全に癒えたわけじゃないけど、にっちもさっちもいかない状態から、こうして一歩前に進めたんだから。
「それでは、あなたが誠意を持って謝罪する意思があるという旨をご両家に伝えてまいります。このまましばらく、この場でお待ちください」
副社長がそう言って彼女に一礼し、書斎の間から出て行く。
入れ替わりに入ってきた男性スタッフに彼女を任せて、私も部屋を出て、廊下の反対側のブライズルームへ急いだ。
ご両家がお式を続けるなら、この後すぐにドレスチェンジすることになる。あんな滅茶苦茶になってしまったお部屋で、花嫁様にお色直しをさせるわけにはいかない。
さっき本館に向かったメイクさんがドレス一式を揃えて戻って来るまで、そんなに時間はないはず。急いで片付けなくては。