バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
零れそうになる涙をグッと堪えて、私はひとまずドレスを部屋の外へ置いてから、倒れた家具を元に戻した。
忙しく手を動かしながらも、頭の中ではメチャクチャになってしまったこの部屋の状態と、婚約者の裏切りによってすべてが崩壊した日々が重なっている。
コツコツと積み上げてきたものが、自分ではどうしようもない力によって、跡形もなく壊されてしまう現実が辛い。
起きてしまったことは仕方がないって、私も周囲から口を揃えて言われたし、実際に仕方がないって自分でも思う。
でも、理解できることと納得できるということは、まったく別物なんだ。
この部屋の悲惨な状態が悲しいのか、それとも自分の身に起きた不運が悲しいのか、わからない。
熱く湿る目をパチパチと瞬かせ、ひたすら鼻をグスグス啜りながら、私は機械的に手を動かし続けた。
「亜寿佳」
背後から声をかけられ、反射的に振り向くと、いつの間にか部屋の入り口に副社長が立っている。
私は泣き顔を見られるのが嫌で、返事もせずにとっさに顔を背けてしまった。
でも彼はそんな失礼な態度を気にする様子もなく、ゆっくりした足取りで室内に入りながら話しかけてくる。
「とりあえず式は続行だ。替えのドレスが届いたら花嫁様をここへお連れするから、それまでに片づけを頼む」
「はい、わかりました。任せてください」
忙しく手を動かしながらも、頭の中ではメチャクチャになってしまったこの部屋の状態と、婚約者の裏切りによってすべてが崩壊した日々が重なっている。
コツコツと積み上げてきたものが、自分ではどうしようもない力によって、跡形もなく壊されてしまう現実が辛い。
起きてしまったことは仕方がないって、私も周囲から口を揃えて言われたし、実際に仕方がないって自分でも思う。
でも、理解できることと納得できるということは、まったく別物なんだ。
この部屋の悲惨な状態が悲しいのか、それとも自分の身に起きた不運が悲しいのか、わからない。
熱く湿る目をパチパチと瞬かせ、ひたすら鼻をグスグス啜りながら、私は機械的に手を動かし続けた。
「亜寿佳」
背後から声をかけられ、反射的に振り向くと、いつの間にか部屋の入り口に副社長が立っている。
私は泣き顔を見られるのが嫌で、返事もせずにとっさに顔を背けてしまった。
でも彼はそんな失礼な態度を気にする様子もなく、ゆっくりした足取りで室内に入りながら話しかけてくる。
「とりあえず式は続行だ。替えのドレスが届いたら花嫁様をここへお連れするから、それまでに片づけを頼む」
「はい、わかりました。任せてください」