バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「あのときのお前、鼻は真っ赤だったし、目蓋なんて普段の三倍くらい腫れてたぞ」
「すみませんね! どうせ私はブスですから!」
ソファーの端まで後退して、ようやく魔の手から逃れた私はムッと唇を尖らせた。
ただでさえお顔の造りが平凡なんだから、泣き顔なんか不細工に決まってる。ちゃんと自覚してるんだからわざわざ指摘することないのに、意地悪だ。
「いや。お前の泣き顔、すごくかわいかったぞ。グッときた」
プンッと機嫌を損ねていたら思いがけない言葉が聞こえて、心臓がドキンと高鳴った。
さっきまでイタズラッ子のような顔をしていた副社長が、柔らかく微笑みながら私を見つめている。
かすかに口角の上がった唇と、私の心を見透かすような黒い瞳が男の色気を醸し出していて、そんな素敵な表情から目が逸らせなくなってしまった。
「……隙あり!」
次の瞬間にまた鼻の頭を人差し指で強く攻撃されて、甘くトキめいていた私は盛大に顔を顰める。
し、しまった。油断した。
「俺の勝ち。真っ赤なお鼻のトナカイ亜寿佳の出来上がりだな」
何度も押されたせいでジンジンする鼻の頭を、両手で隠している私を見て、彼は白い歯をのぞかせて楽しそうに笑う。
「すみませんね! どうせ私はブスですから!」
ソファーの端まで後退して、ようやく魔の手から逃れた私はムッと唇を尖らせた。
ただでさえお顔の造りが平凡なんだから、泣き顔なんか不細工に決まってる。ちゃんと自覚してるんだからわざわざ指摘することないのに、意地悪だ。
「いや。お前の泣き顔、すごくかわいかったぞ。グッときた」
プンッと機嫌を損ねていたら思いがけない言葉が聞こえて、心臓がドキンと高鳴った。
さっきまでイタズラッ子のような顔をしていた副社長が、柔らかく微笑みながら私を見つめている。
かすかに口角の上がった唇と、私の心を見透かすような黒い瞳が男の色気を醸し出していて、そんな素敵な表情から目が逸らせなくなってしまった。
「……隙あり!」
次の瞬間にまた鼻の頭を人差し指で強く攻撃されて、甘くトキめいていた私は盛大に顔を顰める。
し、しまった。油断した。
「俺の勝ち。真っ赤なお鼻のトナカイ亜寿佳の出来上がりだな」
何度も押されたせいでジンジンする鼻の頭を、両手で隠している私を見て、彼は白い歯をのぞかせて楽しそうに笑う。