バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「副社長。いえ、響さん」
思い切って彼の名を囁いたら、彼の両目が驚いたように見開かれ、唇に触れている指先がピクリと反応した。
「初めて、まともに名前で呼んでくれたな」
そう言って彼は嬉しそうに目を細め、私の唇を愛しげに指先でなぞる。
痺れるような心地よさが、薄く敏感な皮膚を通して全身に染み渡り、私はうっとり両目を閉じてその素敵な感覚に酔いしれた。
体の芯からゾクゾクとした熱と幸福感が込み上げて、波が打ち寄せるように全身に染み渡っていく。
ほら、やっぱり嫌じゃないよ……。
「響さん、私は」
そう言い出した途端に副社長の胸ポケットが鳴動して、私の言葉は尻切れトンボになってしまった。
まるで図ったようなタイミングに、私と彼が思わず顔を見合わせる。
盛り上がっていた場の空気が、空気の抜けた風船みたいにしおしおに萎んでしまった。
「はい。名取だ」
私の唇から手を離し、さっきまでの蕩けるような雰囲気とはうって変わった真面目な顔で電話対応する彼を見ながら、つい電話をかけてきた相手を恨みがましく思ってしまう。
思い切って彼の名を囁いたら、彼の両目が驚いたように見開かれ、唇に触れている指先がピクリと反応した。
「初めて、まともに名前で呼んでくれたな」
そう言って彼は嬉しそうに目を細め、私の唇を愛しげに指先でなぞる。
痺れるような心地よさが、薄く敏感な皮膚を通して全身に染み渡り、私はうっとり両目を閉じてその素敵な感覚に酔いしれた。
体の芯からゾクゾクとした熱と幸福感が込み上げて、波が打ち寄せるように全身に染み渡っていく。
ほら、やっぱり嫌じゃないよ……。
「響さん、私は」
そう言い出した途端に副社長の胸ポケットが鳴動して、私の言葉は尻切れトンボになってしまった。
まるで図ったようなタイミングに、私と彼が思わず顔を見合わせる。
盛り上がっていた場の空気が、空気の抜けた風船みたいにしおしおに萎んでしまった。
「はい。名取だ」
私の唇から手を離し、さっきまでの蕩けるような雰囲気とはうって変わった真面目な顔で電話対応する彼を見ながら、つい電話をかけてきた相手を恨みがましく思ってしまう。