バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「へえ? あんたらは『理無い仲』ってやつか。御曹司と一般女性社員の関係ねぇ」
副社長の話を黙って聞いていた村内先生が、手に持っていたカメラをこちらに向けてファインダーを覗き込み、弾んだ声を出す。
なんだかレンズを通して、自分の恋心を覗かれたように感じて、恥ずかしさに顔が勝手に赤らんでしまう。
「いいね! そういうの、ぜひ撮りたいね。花嫁さんはその別嬪さんで決まりだ。おい、早くふたりの支度を整えろ。面白い仕事になるぞ、こりゃ」
先生は反対するどころかますます目をキラキラさせて、レンズ選びに余念がない。
その様子に安心したように息をついた年長スタッフさんが、私と副社長に話しかけてきた。
「それではおふたりとも、急いで着替えてきていただけますか? それまでにチャペル内の撮影を終えておきますから」
「わかりました。亜寿佳、俺はモデル事務所に連絡を入れるから先に行け」
副社長が私の背中を手でそっと押して移動を促し、私はフワフワと覚束ない足取りでスタッフ通路へと向かった。
慌ただしい展開に、どうにも心が落ち着かない。自分の中に芽生えた彼への感情とじっくり向き合いたいのに、モデル云々の話のせいで、気持ちが集中できないのが残念だった。
副社長の話を黙って聞いていた村内先生が、手に持っていたカメラをこちらに向けてファインダーを覗き込み、弾んだ声を出す。
なんだかレンズを通して、自分の恋心を覗かれたように感じて、恥ずかしさに顔が勝手に赤らんでしまう。
「いいね! そういうの、ぜひ撮りたいね。花嫁さんはその別嬪さんで決まりだ。おい、早くふたりの支度を整えろ。面白い仕事になるぞ、こりゃ」
先生は反対するどころかますます目をキラキラさせて、レンズ選びに余念がない。
その様子に安心したように息をついた年長スタッフさんが、私と副社長に話しかけてきた。
「それではおふたりとも、急いで着替えてきていただけますか? それまでにチャペル内の撮影を終えておきますから」
「わかりました。亜寿佳、俺はモデル事務所に連絡を入れるから先に行け」
副社長が私の背中を手でそっと押して移動を促し、私はフワフワと覚束ない足取りでスタッフ通路へと向かった。
慌ただしい展開に、どうにも心が落ち着かない。自分の中に芽生えた彼への感情とじっくり向き合いたいのに、モデル云々の話のせいで、気持ちが集中できないのが残念だった。