バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「素晴らしいドレスでしょう? これ、『ミカドシルク』よ」
姿見に映る私のドレス姿を眺めながら、コーディネーターさんが自慢げに教えてくれた。
シルクの王様と呼ばれるミカドシルクは、世界中の花嫁が憧れるウェディングドレス素材。
その独特な光沢とハリ感が生み出すエレガントさは、まさにエンペラーの名を冠するに相応しい。
言葉では表現できないほどの最高級の気高さや美しさを、生地ひとつで生み出すことができる。
「うん、このドレスは問題なくあなたに似合うわね。他のも試着してみてくれる?」
コーディネーターさんに言われた通り、他のドレスも一通り試着してみたけれど、このロイヤルタイプのドレスが一番私に似合っている気がする。
あのときもそうだった。他のどんなドレスよりも、あの一目惚れしたドレスは別格だったんだ。
「どれも素敵だけど、やっぱり本人が好きなドレスが一番似合うわね。こういう巡り合わせって、なんだか運命を感じない?」
私の気持ちを高揚させようとして言ってくれているのであろう、コーディネーターさんのその言葉が、逆に私の心を沈ませる。
巡り合わせ。運命。
それはまるで逃れられない過去の亡霊が、突如として目の前に現れたような気にさせる、重苦しい言葉に聞こえた。
よりによって、副社長への恋心を自覚した直後に、こんな過去の古傷を思い出してしまうなんて……。
姿見に映る私のドレス姿を眺めながら、コーディネーターさんが自慢げに教えてくれた。
シルクの王様と呼ばれるミカドシルクは、世界中の花嫁が憧れるウェディングドレス素材。
その独特な光沢とハリ感が生み出すエレガントさは、まさにエンペラーの名を冠するに相応しい。
言葉では表現できないほどの最高級の気高さや美しさを、生地ひとつで生み出すことができる。
「うん、このドレスは問題なくあなたに似合うわね。他のも試着してみてくれる?」
コーディネーターさんに言われた通り、他のドレスも一通り試着してみたけれど、このロイヤルタイプのドレスが一番私に似合っている気がする。
あのときもそうだった。他のどんなドレスよりも、あの一目惚れしたドレスは別格だったんだ。
「どれも素敵だけど、やっぱり本人が好きなドレスが一番似合うわね。こういう巡り合わせって、なんだか運命を感じない?」
私の気持ちを高揚させようとして言ってくれているのであろう、コーディネーターさんのその言葉が、逆に私の心を沈ませる。
巡り合わせ。運命。
それはまるで逃れられない過去の亡霊が、突如として目の前に現れたような気にさせる、重苦しい言葉に聞こえた。
よりによって、副社長への恋心を自覚した直後に、こんな過去の古傷を思い出してしまうなんて……。