バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「亜寿佳」
片手を差し出しながら、彼が私を呼ぶ。
その甘さを含んだ声に聞き惚れて、もう夢見心地だ。まるでおとぎ話の王子様が物語の中から飛び出して、迎えに来てくれたみたい。
いい大人の女がそんな乙女チックな想像をしたら笑われそうだけど、本当にそういう気持ちにさせられるほど麗しい男が、こうして目の前にいるんだもの。
少女のように心を奪われて陶酔しても、しょうがないじゃない……。
うっとりと彼の掌の上に手を乗せた私に、彼が優しい声で語りかけてくる。
「亜寿佳、綺麗だ。世界で一番綺麗な俺の花嫁」
―― ビクン!
その言葉を聞いた瞬間、私の手が硬直した。
熱に浮かされていた意識が、冷や水を浴びたように一気に冷める。
なぜなら、彼がいま言った言葉とそっくり同じ言葉を、私は過去にも聞いていたからだ。
それは……。
『亜寿佳、すごく綺麗だよ。世界で一番綺麗な俺の花嫁さん』
衣装合わせの日、ようやく決まった小物一式を身につけて、即席の花嫁姿を披露した私に貴明が言ってくれた言葉だ。
片手を差し出しながら、彼が私を呼ぶ。
その甘さを含んだ声に聞き惚れて、もう夢見心地だ。まるでおとぎ話の王子様が物語の中から飛び出して、迎えに来てくれたみたい。
いい大人の女がそんな乙女チックな想像をしたら笑われそうだけど、本当にそういう気持ちにさせられるほど麗しい男が、こうして目の前にいるんだもの。
少女のように心を奪われて陶酔しても、しょうがないじゃない……。
うっとりと彼の掌の上に手を乗せた私に、彼が優しい声で語りかけてくる。
「亜寿佳、綺麗だ。世界で一番綺麗な俺の花嫁」
―― ビクン!
その言葉を聞いた瞬間、私の手が硬直した。
熱に浮かされていた意識が、冷や水を浴びたように一気に冷める。
なぜなら、彼がいま言った言葉とそっくり同じ言葉を、私は過去にも聞いていたからだ。
それは……。
『亜寿佳、すごく綺麗だよ。世界で一番綺麗な俺の花嫁さん』
衣装合わせの日、ようやく決まった小物一式を身につけて、即席の花嫁姿を披露した私に貴明が言ってくれた言葉だ。