バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
自分の身に起きた紛れもない現実を前に、『次はきっと大丈夫』なんて、なにを根拠に信じられる?
可能性は決してゼロじゃないのに、危険を承知で飛び込めと? また傷ついてしまったら、あの地獄のような苦しみには、もう私の心は耐えられない。
だから、無理。
無理なんです副社長。
私もあなたのことが好きだけれど、怖いの。怖くて怖くて堪らないの。
私にはもう、誰かと一緒に新しい恋を紡いでいく勇気なんて、微塵も残っていないんです……。
「うっ……。うぅ……」
何度も何度も首を横に振り、私は啜り泣き続けた。
自分の感情や思いを言葉にすることができなくて、ただこうやって怯えながら拒否することしかできない。
惨めに泣き続けるだけの私に、彼はもう、なにも言ってはくれなかった。
責める言葉も、慰めもない。その沈黙が居たたまれなくて、時間にすればほんの僅かなはずの静寂が、気が遠くなるほど長く感じる。
たまらなく重苦しい時間を経て、ようやく彼が口を開いた。
「……もう撮影はいいから、着替えて帰っていい。俺はまだ仕事があるから送れないが大丈夫だな?」
その言葉に、私の息が一瞬止まった。
可能性は決してゼロじゃないのに、危険を承知で飛び込めと? また傷ついてしまったら、あの地獄のような苦しみには、もう私の心は耐えられない。
だから、無理。
無理なんです副社長。
私もあなたのことが好きだけれど、怖いの。怖くて怖くて堪らないの。
私にはもう、誰かと一緒に新しい恋を紡いでいく勇気なんて、微塵も残っていないんです……。
「うっ……。うぅ……」
何度も何度も首を横に振り、私は啜り泣き続けた。
自分の感情や思いを言葉にすることができなくて、ただこうやって怯えながら拒否することしかできない。
惨めに泣き続けるだけの私に、彼はもう、なにも言ってはくれなかった。
責める言葉も、慰めもない。その沈黙が居たたまれなくて、時間にすればほんの僅かなはずの静寂が、気が遠くなるほど長く感じる。
たまらなく重苦しい時間を経て、ようやく彼が口を開いた。
「……もう撮影はいいから、着替えて帰っていい。俺はまだ仕事があるから送れないが大丈夫だな?」
その言葉に、私の息が一瞬止まった。