バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「奥様の項目欄は、後で奥様自身に記入してもらうから空欄にしておいてください」

「うん。わかった」

 まだ熱の醒めやらぬ心持ちのまま、仕事上の会話を交わしながら、頭の片隅でふと思った。

 もしも街のどこかで貴明とバッタリ再会したら、どうなるだろうと考えたことは何度かあったけど。

 想像の中のふたりの再会はかなり悲惨だったのに、まさかこんな、思いもよらない形で再会するなんて。

 しかも、意外と冷静に話せている自分自身にちょっと驚いている。

 ……二年、か。

 あれから二年、経ったんだな。

 そんなことを考えながら、私は自分のお客様となった因縁の相手を、複雑な心境で眺めていた。






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