バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「せ、成功させるって、なにかいい案でもあるんですか?」
眉間に皺を寄せている私の隣で、勢い込んで質問する泉ちゃんに、副社長は事もなげにうなづいてみせる。
「もちろんだ。どうして倉本は気がつかないかなあ? 実に不思議だなあ」
あてこするように言った副社長は、私が持っている試算表を横目で眺めて、クスッと小さく笑った。
……くっ! 黒板の前で数式が解けずに悩んでる学生を前に、自分だけが正解を知っている先生みたいな顔して!
自分の優位な立場を利用して私に頭を下げさせたいんだろうけど、そうは問屋が……
「ぜひ教えてください! 倉本さん、すごく困ってるんです!」
ものすごく素直な性格の泉ちゃんが、さっそく頭を下げて副社長に頼み込むのを見てギョッとした。
い、泉ちゃん、お願いやめて。私のために頭を下げてくれる気持ちは本当にありがたいけど、事はそう単純じゃないの。
慌てて泉ちゃんの腕を引っ張っる私の耳に、副社長の淡々とした声が聞こえる。
「だめだ。絶対に教えない」
「……え?」
気の抜けた声を出して顔を上げた泉ちゃんと一緒に、私も思わず副社長を見つめた。
「どんなに頼まれたって俺は絶対に教えない。倉本は自分で培ってきた経験から、ちゃんと答えを見つけられるはずだからな」
眉間に皺を寄せている私の隣で、勢い込んで質問する泉ちゃんに、副社長は事もなげにうなづいてみせる。
「もちろんだ。どうして倉本は気がつかないかなあ? 実に不思議だなあ」
あてこするように言った副社長は、私が持っている試算表を横目で眺めて、クスッと小さく笑った。
……くっ! 黒板の前で数式が解けずに悩んでる学生を前に、自分だけが正解を知っている先生みたいな顔して!
自分の優位な立場を利用して私に頭を下げさせたいんだろうけど、そうは問屋が……
「ぜひ教えてください! 倉本さん、すごく困ってるんです!」
ものすごく素直な性格の泉ちゃんが、さっそく頭を下げて副社長に頼み込むのを見てギョッとした。
い、泉ちゃん、お願いやめて。私のために頭を下げてくれる気持ちは本当にありがたいけど、事はそう単純じゃないの。
慌てて泉ちゃんの腕を引っ張っる私の耳に、副社長の淡々とした声が聞こえる。
「だめだ。絶対に教えない」
「……え?」
気の抜けた声を出して顔を上げた泉ちゃんと一緒に、私も思わず副社長を見つめた。
「どんなに頼まれたって俺は絶対に教えない。倉本は自分で培ってきた経験から、ちゃんと答えを見つけられるはずだからな」