バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「倉本さん? どうしたんですか?」

 視線を落として黙り込んでしまった私の顔を、泉ちゃんが心配そうに覗き込んでくる。

 ……こんな考えは、お門違いというものだ。

 仕事を引き受けた時点で、貴明は私のお客様になった。貴明にアドバイスをするべきは私であって、副社長じゃない。

 この仕事に関する責任のすべては私にある。

 なのに副社長が教えてくれないと拗ねるのは、彼が言う通り、『もう、やーめた』って自分の仕事を放り出すのと一緒だ。

 そんなことは、意地でもしない。

 解決方法があると副社長が言うなら、きっと本当にあるんだろう。あの人は嘘は言わないもの。嫌味は言うけど。

 存在するものなら、それを見つければいいだけだ。きっと見つけてみせる!
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