バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
その誤った思い込みのせいで心が曇っていたから、自分で気づくことができなかったんだ。
自分がもう……立ち直りかけていることに。
まだ優花ちゃんの温もりが残る掌を軽く握りしめながら、しみじみと思う。
『この子さえいなければ』と何度思ったかしれない優花ちゃんを、私はこの腕に抱くことができた。
そして、『死ぬまで会いたくない。死んでも許さない』とあれほど恨んだ雅美さんと、こうして冷静に話せている。
それこそが、私が立ち直りかけている証拠だ。
たしかに私が負った心の傷はとても深くて、おそらくこの先も完全に消えることはないだろう。
けれど、傷跡が残っているからといって、その傷がまったく癒えていないわけじゃないんだ。
……二年。
体の傷がいつの間にか治癒するのと同じで、心の傷も二年という時間をかけて、ゆっくりゆっくり、気づかぬうちに癒されていたんだ。
でも私は、その事実を認めることができなかった。
貴明たちを責めることばかりに執着して、『私は酷い目にあわされた可哀そうな人間なんだ』と、自分を憐れむ気持ちで頭がいっぱいだったから。
そんな風に自分で自分を邪魔し続けていたせいで、副社長の告白を受けいれられなかった。ううん。はなから受け入れようとしなかった。
自分がもう……立ち直りかけていることに。
まだ優花ちゃんの温もりが残る掌を軽く握りしめながら、しみじみと思う。
『この子さえいなければ』と何度思ったかしれない優花ちゃんを、私はこの腕に抱くことができた。
そして、『死ぬまで会いたくない。死んでも許さない』とあれほど恨んだ雅美さんと、こうして冷静に話せている。
それこそが、私が立ち直りかけている証拠だ。
たしかに私が負った心の傷はとても深くて、おそらくこの先も完全に消えることはないだろう。
けれど、傷跡が残っているからといって、その傷がまったく癒えていないわけじゃないんだ。
……二年。
体の傷がいつの間にか治癒するのと同じで、心の傷も二年という時間をかけて、ゆっくりゆっくり、気づかぬうちに癒されていたんだ。
でも私は、その事実を認めることができなかった。
貴明たちを責めることばかりに執着して、『私は酷い目にあわされた可哀そうな人間なんだ』と、自分を憐れむ気持ちで頭がいっぱいだったから。
そんな風に自分で自分を邪魔し続けていたせいで、副社長の告白を受けいれられなかった。ううん。はなから受け入れようとしなかった。