バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「みっともないな……」
フッと小さく苦笑する私を、雅美さんが軽く鼻を啜りながら小首を傾げて見ている。
本当に情けない。苦しんだのは自分ひとりじゃないと知ってようやく、今頃になって目が覚めるなんて。
傷から目を逸らし続けて直視しようとしなかった結果が、これだ。
そして、こうして目を覚ますきっかけをくれたのは……。
「倉本さんはもちろん、副社長さんにも本当に感謝しています」
雅美さんの実感の籠った言葉が、私の胸にジーンと響いた。
そう、彼だ。
彼が私に、きっかけを与えてくれた。
副社長が私に、貴明夫妻の式をコーディネートさせるなんて荒療治を施さなければ、私はいつまで経っても目を覚まさなかっただろう。
「主人も最初に電話でお話をいただいたときは、さすがにお断りしたんです。そしたら副社長さんが、その日のうちに自宅を訪ねていらして」
「え? 副社長がわざわざご自宅にですか?」
目を瞬かせる私に、雅美さんが何度もうなずいてみせる。
「ええ。そして土下座せんばかりの熱心さで頼み込んだんです。『どうか彼女に、前に進む機会を与えてやってください』って。なんなら費用は自分が全額持つとまで仰ってました」
フッと小さく苦笑する私を、雅美さんが軽く鼻を啜りながら小首を傾げて見ている。
本当に情けない。苦しんだのは自分ひとりじゃないと知ってようやく、今頃になって目が覚めるなんて。
傷から目を逸らし続けて直視しようとしなかった結果が、これだ。
そして、こうして目を覚ますきっかけをくれたのは……。
「倉本さんはもちろん、副社長さんにも本当に感謝しています」
雅美さんの実感の籠った言葉が、私の胸にジーンと響いた。
そう、彼だ。
彼が私に、きっかけを与えてくれた。
副社長が私に、貴明夫妻の式をコーディネートさせるなんて荒療治を施さなければ、私はいつまで経っても目を覚まさなかっただろう。
「主人も最初に電話でお話をいただいたときは、さすがにお断りしたんです。そしたら副社長さんが、その日のうちに自宅を訪ねていらして」
「え? 副社長がわざわざご自宅にですか?」
目を瞬かせる私に、雅美さんが何度もうなずいてみせる。
「ええ。そして土下座せんばかりの熱心さで頼み込んだんです。『どうか彼女に、前に進む機会を与えてやってください』って。なんなら費用は自分が全額持つとまで仰ってました」