バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
私はポカンと口を開けてしまった。
副社長が、そこまでして頼み込んでいたなんて知らなかった。
考えてみれば、私に対して大きな負い目を感じている貴明がこんな無茶な話を了承するくらいなんだから、副社長はよほど熱心に食い下がったんだろう。
「さすがに費用の件は辞退しましたけど、副社長さんのあの熱意がなければ、式を挙げようなんて思いませんでした」
眠くなってきたのか、少しグズり始めた優花ちゃんの背中をトントン優しく叩きながら、雅美さんは微笑んだ。
「倉本さん、本当に副社長さんに大切に思われていらっしゃるんですね」
その言葉を聞いた私の胸がグッと詰まって、熱い物が喉元から込み上げてくる。
泣きそうになっているのを悟られまいとして、私は唇を引き締めて視線を泳がせた。
……そうだ。私は大切に思われていたんだ。
副社長が忙しい時間の合間を縫って、私の仕事の状況をあちこち確認して回っていたのは、泉ちゃんの言う通り私のことを案じていたから。
費用の全額負担なんて条件まで出して貴明に頼み込んだのも、私のためを思って。
真実を言ってくれなかったのは、私の意地っ張りな性格を見越してのことだろう。
彼の真意を聞いたところで、目が曇っていた私に伝わるはずもない。
だから彼は、私に嫌われるのを百も承知で悪役を買って出て、私に救いの手を差し伸べてくれたんだ。
副社長が、そこまでして頼み込んでいたなんて知らなかった。
考えてみれば、私に対して大きな負い目を感じている貴明がこんな無茶な話を了承するくらいなんだから、副社長はよほど熱心に食い下がったんだろう。
「さすがに費用の件は辞退しましたけど、副社長さんのあの熱意がなければ、式を挙げようなんて思いませんでした」
眠くなってきたのか、少しグズり始めた優花ちゃんの背中をトントン優しく叩きながら、雅美さんは微笑んだ。
「倉本さん、本当に副社長さんに大切に思われていらっしゃるんですね」
その言葉を聞いた私の胸がグッと詰まって、熱い物が喉元から込み上げてくる。
泣きそうになっているのを悟られまいとして、私は唇を引き締めて視線を泳がせた。
……そうだ。私は大切に思われていたんだ。
副社長が忙しい時間の合間を縫って、私の仕事の状況をあちこち確認して回っていたのは、泉ちゃんの言う通り私のことを案じていたから。
費用の全額負担なんて条件まで出して貴明に頼み込んだのも、私のためを思って。
真実を言ってくれなかったのは、私の意地っ張りな性格を見越してのことだろう。
彼の真意を聞いたところで、目が曇っていた私に伝わるはずもない。
だから彼は、私に嫌われるのを百も承知で悪役を買って出て、私に救いの手を差し伸べてくれたんだ。