バージンロードで始めましょう～次期社長と恋人契約～

　泉ちゃんや雅美さんは、副社長の広い心と深い愛情に気がついていたのに、当の本人の私だけが気づけずにいたなんて……。

　彼は、私を想ってくれている。

　疑いようもないその事実を今度こそ心の中でしっかりと噛みしめ、熱い瞼を閉じて涙を堪えた。

　じわじわと泉のように湧く熱いこの気持ちは、喜びとも、感謝とも、後悔とも言えない、とても言葉で言い表せないほど大きくてたしかな感情だ。

　私も、彼を想っている……。

　目を開いてほんの一歩前に進みさえすれば、こんな素晴らしいものが目の前にあることに気がつけたはずなのに、私が愚かなせいで見過ごしてしまっていた。

　副社長。ごめんなさい。そして、ありがとう。

　私の過ちを彼に謝罪したい。心からの感謝の気持ちと、彼への想いを伝えたい。

　そのためにも……。

「奥様。どうぞ安心して私にお式をお任せください」

　私はそっと瞼を開き、湿ったまつ毛を瞬かせながら雅美さんに笑顔を見せた。

「おふたりの心に残るような挙式になるように、私がしっかりとサポートいたします」