バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
 すぐ近くのキッズルームへ案内すると、カラフルな遊具がたくさん置いてある室内を見た優花ちゃんの泣き声がピタリと止んだ。

「あの、こちらで少しの間、お休みください。すぐにまたお迎えに参りますので」

 そう言ってキッズルームを後にした私は、副社長室へと急いだ。

 予算内で式を挙げる方法が、やっとわかった!

 たぶん、さっき閃いた考えで正解なはず。私が見つけた答えをぜひ彼に聞いてもらいたい!

 エレベーターから出て、小走りに廊下を進む私の足取りが、ふわふわと軽やかに浮き立っている。

 心はまるで朝日が燦々と射し込む窓辺のように明るくて、こんなに清々しい気持ちになれたのは久しぶりだ。

 それもすべて彼のお陰だ。私が見つけた答えを聞いたら、彼はどんな顔をするだろう。

 喜んでくれるだろうか。褒めてくれるだろうか。

 弾む気持ちを抱えながら廊下の角を曲がった瞬間、ちょうど副社長室の手前の辺りに立つ、ふたつの人影が見えた。
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