バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「…………」

 黙って私の説明を聞いていた副社長が、私の心の声に答えるように大きくうなづいた。そして貴明に向かって嬉しそうに微笑みながら話を進める。

「それでは次回の実習挙式は、桜井様の挙式に決定させていただきます」

「それと、実はもうひとつ私から提案があります」

 副社長の言葉に続いて、私はもうひとつの大事な案を、口調を変えて貴明に切り出した。

「貴明のご両親にも、式に出席してもらわない?」

 そう切り出した途端、貴明の表情がサッと曇った。

 無理もない。現状、貴明とご両親は断絶状態で、借金の返済以外の交流は一切ないらしいから。

 でも、それがお互いの本心だとは私には思えないし、このままでいいとも思えない。

 ご両親だって本当は孫に会いたいはずだし、優花ちゃんにだって父方のおじいちゃん、おばあちゃんの愛情を受ける権利がある。
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