バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
息子と違って少し小柄で、威厳よりも親しみやすさで人を惹きつけるその表情は今、明らかに驚愕に満ちている。
そりゃそうだ。大事な跡取り息子が、名前も知らない一般社員なんかと結婚宣言しているのを目の当たりにして、喜ぶ父親はいない。
これは一刻も早くこの事態を収拾して、『これはただのお芝居ですから』って笑い話にしなきゃ、社長まで巻き込んだ大騒動になってしまう。
うっかり『息子をたぶらかす性悪女』のレッテルを張られたりしたら、クビにされちゃうかも!
しゃ、社長。本当は私、息子さんの恋人でもなんでもないんです。
今すぐその誤解を解きますから、どうか怒らないで、そこでちょっとだけ待っててください!
「響!」
私の祈りも空しく、社長はツカツカと慌ただしい足取りで一直線にこちらへ向かってきた。
あぁ、もうダメ。親子喧嘩の勃発は止められない。こうなったらこれ以上ややこしくなる前に、本当のことを暴露すべきか……。
「おめでとう! お前がどんな良縁でも決して首を縦に振らなかったのには、こういう訳があったのか!」
言うなり、社長が息子の肩をガシッと掴んだ。
隣で固唾を飲んでいた私は、思いもよらないその行動に目が点になる。
え? なに? 今いったいなにが起こってるの?
そりゃそうだ。大事な跡取り息子が、名前も知らない一般社員なんかと結婚宣言しているのを目の当たりにして、喜ぶ父親はいない。
これは一刻も早くこの事態を収拾して、『これはただのお芝居ですから』って笑い話にしなきゃ、社長まで巻き込んだ大騒動になってしまう。
うっかり『息子をたぶらかす性悪女』のレッテルを張られたりしたら、クビにされちゃうかも!
しゃ、社長。本当は私、息子さんの恋人でもなんでもないんです。
今すぐその誤解を解きますから、どうか怒らないで、そこでちょっとだけ待っててください!
「響!」
私の祈りも空しく、社長はツカツカと慌ただしい足取りで一直線にこちらへ向かってきた。
あぁ、もうダメ。親子喧嘩の勃発は止められない。こうなったらこれ以上ややこしくなる前に、本当のことを暴露すべきか……。
「おめでとう! お前がどんな良縁でも決して首を縦に振らなかったのには、こういう訳があったのか!」
言うなり、社長が息子の肩をガシッと掴んだ。
隣で固唾を飲んでいた私は、思いもよらないその行動に目が点になる。
え? なに? 今いったいなにが起こってるの?