バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「安心したよ。お前の態度があんまり頑なだったから、ひょっとして男性が恋愛対象なのかと思って、お母さんとふたりで密かに気を揉んでいたんだぞ?」
そう言って明るく笑う社長は喜色満面。本当に嬉しそうだ。
副社長は呆気にとられてそんな父親の浮かれた様子を見ていたけれど、すぐに小さく息を吐く。
「なにを言ってるんですかお父さん。俺はノーマルですよ」
「どうやらそうらしいな! いや、たとえそうでなかったとしても私は決して差別するつもりはないんだが、やはり孫の顔が見られるのは嬉しいからな」
何度も力強く息子の肩を叩き、笑い声を上げた社長は、そのまま私の方に向き直った。
そしてビクッと体を硬直させた私に愛想よく話しかけてくる。
「ところでキミ、名前はなんというのかな?」
「く、倉本亜寿佳です」
「倉本くんか。不肖の息子だが、どうかよろしく」
そう言って社長は私の手をギュッと両手で握りしめ、深々と頭を下げる。
自分の雇い主に頭を下げられて突っ立っているわけにもいかず、私も慌ててお辞儀をした。
「は、いえ、あの、こちらこそ」
なにが『こちらこそ』なのか自分でもよくわからないけれど、とりあえずそう答えたら、社長はますます大喜びで私の手をブンブンと上下に振る。
「私は本当に嬉しいよ! 響、倉本君、おめでとう!」
そう言って明るく笑う社長は喜色満面。本当に嬉しそうだ。
副社長は呆気にとられてそんな父親の浮かれた様子を見ていたけれど、すぐに小さく息を吐く。
「なにを言ってるんですかお父さん。俺はノーマルですよ」
「どうやらそうらしいな! いや、たとえそうでなかったとしても私は決して差別するつもりはないんだが、やはり孫の顔が見られるのは嬉しいからな」
何度も力強く息子の肩を叩き、笑い声を上げた社長は、そのまま私の方に向き直った。
そしてビクッと体を硬直させた私に愛想よく話しかけてくる。
「ところでキミ、名前はなんというのかな?」
「く、倉本亜寿佳です」
「倉本くんか。不肖の息子だが、どうかよろしく」
そう言って社長は私の手をギュッと両手で握りしめ、深々と頭を下げる。
自分の雇い主に頭を下げられて突っ立っているわけにもいかず、私も慌ててお辞儀をした。
「は、いえ、あの、こちらこそ」
なにが『こちらこそ』なのか自分でもよくわからないけれど、とりあえずそう答えたら、社長はますます大喜びで私の手をブンブンと上下に振る。
「私は本当に嬉しいよ! 響、倉本君、おめでとう!」