バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
でもそれだけでは、どうやら完璧主義っぽい副社長は満足されないらしい。
「俺はもう、お前を愛することを誰にも隠さないよ。亜寿佳」
真剣な表情をした副社長が、しっとり耳触りの良い低音ボイスで囁く。
目を丸くした女性社員たちが口元に手を当てて、懸命に悲鳴を堪えている様子が副社長の背中越しにありありと見え、私は片手で顔を覆いたくなった。
ああ、これは決定打だな。この瞬間から爆発的に噂が広まっていくことになるだろう。
明日には、誰ひとりとして“私たちの仲”を知らない者はいないくらいに。
それにしても他の誰かがこんな寒いセリフを言ったら、部屋中にブリザードが吹き荒れるか、大爆笑されるかのどっちかだろうに、この人が言うと見事に殺し文句になってしまうんだからイケメンってすごい。
「さあ、亜寿佳。一緒に帰ろう」
「は、はい。副社……」
「ゴホ! ゴホン!」
「ひ、響さん」
満足そうに微笑んでいる確信犯の王子に連れられ、私はしおしおと出口に向かって歩いた。
「俺はもう、お前を愛することを誰にも隠さないよ。亜寿佳」
真剣な表情をした副社長が、しっとり耳触りの良い低音ボイスで囁く。
目を丸くした女性社員たちが口元に手を当てて、懸命に悲鳴を堪えている様子が副社長の背中越しにありありと見え、私は片手で顔を覆いたくなった。
ああ、これは決定打だな。この瞬間から爆発的に噂が広まっていくことになるだろう。
明日には、誰ひとりとして“私たちの仲”を知らない者はいないくらいに。
それにしても他の誰かがこんな寒いセリフを言ったら、部屋中にブリザードが吹き荒れるか、大爆笑されるかのどっちかだろうに、この人が言うと見事に殺し文句になってしまうんだからイケメンってすごい。
「さあ、亜寿佳。一緒に帰ろう」
「は、はい。副社……」
「ゴホ! ゴホン!」
「ひ、響さん」
満足そうに微笑んでいる確信犯の王子に連れられ、私はしおしおと出口に向かって歩いた。