バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
とまぁ、そんなわけで予想通り、その次の日から世界的な企業の御曹司と一般女子社員の恋という、現代のシンデレラストーリーの噂で社内は大騒ぎになった。
副社長は宣告通りに、毎日きっちり自分の愛車で私を送迎してくれる。
ランチだって時間の許す限り私と一緒に社食で取って、周囲への仲よしアピールに余念がない。
彼の意欲的な工作活動のおかげで、噂の信憑性はバッチリ。私たちが恋人同士であることを疑う者は、ひとりもいなかった。
社長公認のお付き合いということもあって、いまのところは女性社員たちから私への、目立ったイビリやイジメはない。
でも徹底した質問攻めにあうし、四方八方から興味津々な視線が突き刺さってくるしで、なんだが自分が珍獣になってしまった気がする。
「みんな陰で好き勝手なこと言ってますよ? 倉本さんの色仕掛けに副社長が陥落したとか、倉本さんが副社長のお酒に一服盛って、強引に既成事実を作ったとか」
「なにそれ」
泉ちゃんのあっけらかんとした報告に、私は苦笑いしてしまった。
相当やっかまれるのは覚悟してたけど、それにしたってそんな性悪女だと思われているんだろうか。