バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「誰に相談しても『仕方がないんだから諦めろ』と言われました。……えぇ、『仕方がない』んだそうです。私が裏切られたことも、不幸になったことも、苦しんだことも、なにもかもぜんぶぜんぶ、それは『仕方がない』ことなんだそうです」
フッと皮肉な笑いを浮かべて、彼女は口を閉ざした。
もう紅茶からはひと筋の湯気も昇っておらず、彼女のボンヤリした目も、冷めてしまった紅茶を見てはいない。
過ぎた過去を反芻するように、テーブルの木目を虚ろに眺めているだけだ。
すべての話を聞き終えた私は、なんとも表現しようのない胸の疼きを抱えながら、彼女と同じようにテーブルの木目を目で追いつつ、ゆっくりと言葉を発する。
「私も、あなたと同じです」
生気の抜けた表情をしている彼女の眉が、ピクンと反応した。
「実は私も婚約者に二股をかけられて、裏切られたんです。しかも結婚式の前日に振られるっていう、信じられない出来事でした」
パッと顔を上げた彼女の両目が、大きく見開かれている。
その横に立っている副社長の驚きの視線も同時に感じながら、私はポリポリ頬を掻いて言葉を続けた。
「私との結婚が決まった時点で、相手の女性とは別れたらしいんです。それ以来完全に連絡を絶っていたらしいんですが、式の直前になって、なんとその女性が彼の子を妊娠していたことが偶然わかって」
フッと皮肉な笑いを浮かべて、彼女は口を閉ざした。
もう紅茶からはひと筋の湯気も昇っておらず、彼女のボンヤリした目も、冷めてしまった紅茶を見てはいない。
過ぎた過去を反芻するように、テーブルの木目を虚ろに眺めているだけだ。
すべての話を聞き終えた私は、なんとも表現しようのない胸の疼きを抱えながら、彼女と同じようにテーブルの木目を目で追いつつ、ゆっくりと言葉を発する。
「私も、あなたと同じです」
生気の抜けた表情をしている彼女の眉が、ピクンと反応した。
「実は私も婚約者に二股をかけられて、裏切られたんです。しかも結婚式の前日に振られるっていう、信じられない出来事でした」
パッと顔を上げた彼女の両目が、大きく見開かれている。
その横に立っている副社長の驚きの視線も同時に感じながら、私はポリポリ頬を掻いて言葉を続けた。
「私との結婚が決まった時点で、相手の女性とは別れたらしいんです。それ以来完全に連絡を絶っていたらしいんですが、式の直前になって、なんとその女性が彼の子を妊娠していたことが偶然わかって」