目は口ほどにものをいう
司side。
「ゆかり。こっち。」
人が多いことを利用して、彼女の名前を呼んで手を繋ぐ。そっと彼女の様子を伺うと、うれしそうに微笑んでた。
俺のことを苦手に思っている彼女だから。振りほどいたりはしないけれど、そっと手を離されるかと思ってた。なのに。
まずい。かわいすぎる……
初めて繋ぐ小さくて柔らかい手に、愛しさが募る。
照れて真っ赤になりそうなのをなんとか平静を装い、目を合わせないことで理性を保つ。
「すごーい。かわいいっ。」
「あぁ。」
くるくる変わる表情がかわいくて。
イルカショーの間もそのあとも、気づかれないように彼女をみてた。
正しく言えば。彼女から目が離せなかった。
'俺の'
そう思いたくてずっと、手を繋いでた。