目は口ほどにものをいう
まほさんに連れてこられたのは、いつもの居酒屋だった。
「ゆかりちゃん。どうして別れたの?やっぱり課長のこと苦手だった?」
まほさんが優しく聞いてくる。
私はふるふると首を振った。
「じゃぁ、どうして?」
まほさんの声に、堪えてた気持ちが溢れ出す。
「気づいたんです。課長が隠してるのは私に向けた気持ちってことに。でも、隠されるような気持ちなんて、いいものとは思えなくて。
それに、まほさん見るときはすごく優しい目をしてるから。課長はきっとまほさんが好きなんだって……」
ダメだ。涙で視界が滲む。
まほさん本人に言うなんて。私なにしてるんだろう。
「………私。ほんとはずっと課長のことが好きでした。
でも、課長が私を見てくれないなら終わりにしようって。」
私の話を、まほさんはゆっくり相槌をうちながら聞いてくれた。