目は口ほどにものをいう

男という生き物は、いくつになっても好きな子はいじめたくなるもので……
かわいく笑うゆかりに対し、いたずら心が疼く。
「それより、ゆかり。俺のことはいつまで課長って呼ぶんだ?」
さっき、咲にも指摘されたし、俺もずっと気になってた。

俺の言葉に、ゆかりの顔がだんだん赤くなる。
「課長、呼ばなきゃダメですか?」
上目遣いで、訴えてもダメ。いたずら心を煽るだけ。
「ダメ。ほら、言ってごらん?」
「課長は意地悪です。」
「ん?誰が意地悪?」
意地悪してるんだから、当然だ。
「ほら。」
意地悪く微笑みながら追い詰めると、ゆかりは観念したように、俺を呼んだ。
「つ。つかさ、さん。」
真っ赤になって涙目で名前を呼んでくるなんて、かわいすぎる。思わず抱き締めてキスをする。
帰したくないな。そう思ったけれど、咲の来襲のせいで、もうゆかりを帰さないといけない時間になっている。

結婚したら、ずっと一緒にいられるのか。
いずれは結婚するつもりだけれど。
この時初めて、結婚について意識した。
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