目は口ほどにものをいう
予約してあった部屋にゆかりとむかう。
ゆかりがうれしそうに指を絡ませてきた。
「司さん。うれしいです。司さんは私と一緒にいたくないのかな?ってちょっと不安だったんです。」
え……
「だって、全然泊めようとしなかったじゃないですか。」
そう言って拗ねたような顔をする。
そういう顔はほんとに困る。
ゆかりは俺にむかって『ずるい』っていうけれど、ずるいのはゆかりの方だ。
ゆかりのくるくる変わる表情に、いつも翻弄される。かわいくて、愛しくて。無自覚に煽ってくるから質が悪い。
ペンダントをつけたときだって。
無防備にさらされた項といつもはしない甘い香り。恥ずかしがるゆかりに煽られて、気づけば項に赤い痕を着けていた。