目は口ほどにものをいう


私は小さい頃からずっと健が好きだった。
2つ上の健は幼い私にとっては、憧れの存在だった。
恋心に気付いたのは中学生の頃。
健に彼女ができたと知り、胸が痛んだ。つらくて、悲しくて、泣いた。

健が私のことを妹のようにしか思ってないことはわかってた。だから、大人になって、少しでも健においついたら告白しようと思って頑張った。
仕事も勉強も女磨きも。
健が他の女性と結婚しませんように。私を見てくれますように。
そう願ってた。

社会人になって、数年。
私は健に告白した。
「俺でいいの?」
そんなことを言いながらOKしてくれた。
涙が出るほどうれしかった…

そこからの付き合いは順調だった。
私にとって、健は初めての彼氏で恋人がするようなことは全て健が教えてくれた。
「まほ、好きだよ。」
そう言って微笑んでくれるだけで、私の心は満たされていく。
こんな日が、ずっと続いていくと思ってた。

でも。
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