目は口ほどにものをいう
今日は久しぶりに、健の部屋で一緒に過ごしていた。
ゆっくりご飯を食べたあと、お酒を飲みながら話をする。
自然と、数日前に出席した司の結婚式の話になる。
「ほんと、司に先を越されるとは。」
まさか、またそんなことを言われると思ってなかった。
少し酔っていた私は、その言葉にブチキレた。
「『先を越された』って、健に結婚する気がないからでしょ?!私と結婚したくないんでしょ?!もう別れる!!結婚してくれる人探すんだから!!!」
呆然とする健を置いて、飛び出した。
今まで、ゆかりちゃんに偉そうなことも言ったけれど。私自身は健と全然向き合えてない。聞く勇気もない。耐えて耐えて、健の様子をうかがって。
私の心は限界だった。
健の一言で、取り乱すほどに。
司の家で眠ってしまったらしい。
ゆらゆらする意識の向こう側で声が聞こえる。
「そんな顔するくらい、まほが大事ならちゃんとはっきりしてやれよ。」
「わかってる。」
愛しい声。暖かい温もりに包まれて、私はまた眠りに落ちた。