目は口ほどにものをいう


目が覚めると、健のベッドで健に抱き締められていた。
えっと……
なんで、自分がここにいるのかわからない。
昨日は司の家で飲んで……私そのままねちゃったんだ。
健が迎えに来てくれたのか。

時計を見ると5時10分をさしている。まだ起きるには少し早い。
健の顔を見ていると、パチリと目が開いた。
「おはよう。」
「おはよう。」

昨日の今日で、とても気まずい………
そんな私の気持ちとは裏腹に、健は困ったように笑う。
「ほんとは明後日の記念日の予定だったんだけど……」
そういいながら、チェストからなにかを取り出した彼は私の左手を取る。
「まほ。長い間待たせてごめん。結婚してください。」
私の薬指にはダイヤの指輪が光っていた。

うそ。ほんとに?
私、昨日、あんなにひどいこと言ったのに。

何も言わない私に彼が続ける。
「待たせてることはずっと、気にしてたんだ。でも、まほと子供たちが安心して暮らせるようになるまではプロポーズなんてできなかった。」
健が優しく抱き締める。
「もう、大丈夫なの?」
「うん。もうまほを、子供も守っていける。」
健はずっと考えてくれてたんだ。なのに、私は…
「昨日はごめんなさい。」
「いいよ。まほも不安だったんだよな。待たせてごめん。司より早く結婚できる予定だったんだけど・・・。」
あ・・・。あれはそういう意味だったんだ。
いろんな感情がぐちゃぐちゃになって、溢れてくる。
「まほ?ちゃんと返事聞かせて?」
「はい。これからよろしくお願いします。」

健が好き。愛してる。

どちらからともなく唇が重なった。

窓からは、明るい光が差し込んでいる……
2人の未来を示すように。
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