目は口ほどにものをいう
STEP0
は〜、会社行きたくない。
こんなに行きたくないのは初めてだ。
あのあと、結局、課長に押しきられる形で(名目上)付き合うことになった。
お互いの両親にも、さらっと『付き合うことにしました』とか、言うから、今さら'嫌です'とは言えなくなってしまった……
課長がなにを考えてるのかさっぱりわからない。
もんもんと悩んでいたら、ほとんど眠れなかった。
会社へつき、自分のデスクにつくと、となり席のまほさんが話しかけてきた。
入社当時からなにかと気にかけてくれる、私のお姉さん的な存在。
美人で、さばさばしててかっこいい。
自虐ネタで行き遅れたって言ってるけど、ずっと付き合ってる彼氏さんがいる。
「ゆかりちゃん、今日どうしたの?体調悪い?」
「ちょっと寝不足で……」
だめだめ。自分の都合で回りに心配させるなんて。
「それに比べて、課長はすごい浮かれてるわね。」
「え?!」
私にはいつも通り。……むしろ、いつも以上に感情が読めない。
「あいつ、嬉しい時、顔に出さないようにするからね。」
「まほさん課長のことよく知ってるんですね。」
「まぁ、同期だからね。
………ゆかりちゃん、課長となにかあった??」
え?!
「あいつが、あんなに浮かれてるの、ゆかりちゃん絡みだとしか思えないんだけど。」
「…………特に何もないです。」
にっこり笑って仕事にかかった。