颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
ぶるぶる。頭を振る。桐生颯悟はなにごともなかったようにオムレツを食べている。

桐生颯悟が普通に接するなら、私も極力、普通に接しよう。


「えっと。英会話対決って誰が審査するんですか?」
「祐理恵さんの英会話講師だって。ちなみに講師はネイティブだから。あともちろん、オレも」
「勝算はあるんですか?」
「キミ次第でしょ。勉強してよね。どうする? もしキミに余力があるなら講師をつけようか」
「はい。ぜひに」
「じゃあ定時であがったらはむはむカフェね。ネイティブスピーカーを頼んでおくから」


桐生颯悟はマグのコーヒーをすする。突き出した唇が昨日のキスを思い出させた。小鳥のキス。ダメダメ、思い出すな、思い出すな!


「祐理恵さんと婚約解消したら早百合さんに告白するんですよね?」
「するよ」
「そうですよね、ハハハ」


あははははは……はあ。

即答。
つまりは“桐生颯悟、早百合さんを想う”、は確定。

早百合さんが好きならなぜキスしたの。そんなことを考えながらオムレツを口に運ぶ。ホワイトソースはほんのり甘くて舌に絡んで、桐生颯悟のキスみたいだった。

桐生颯悟がキスしたいのは早百合さんだ。
あんな甘くてふわふわしたキスを早百合さんとするんだ。
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