颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

その間、早百合さんは何をしていたかというと。

パーカーを羽織り、窓側の席に座って向かいにいるお客さんと話し込んでいた。その相手はもちろん桐生颯悟。

つまり、桐生颯悟は早百合さんを独り占めするために私をバイトに投入した、ということだ。腹立たしいを通り越して、感服した。腹黒御曹司め。

でもカウンターからは桐生颯悟の顔がよく見えた。

にこにこと笑う桐生颯悟はかわいくて、時折真剣な眼差しになる桐生颯悟はかっこよくて、たまに目を伏せる桐生颯悟は綺麗で。

そんな桐生颯悟を独り占めしてる早百合さんが羨ましいわけで。


「ミノーリ、ソーゴヲスキ?」


なんてジャレッドさんにも言われて。バチンと背中をたたかれて、親指立ててグーをされて。ガンバレ!って意味なんだろうけど……無理だ。

桐生颯悟は食事をしてカフェを後にした。ジャレッドさんは21時で上がった。

結局閉店まで手伝って、賄いを出してもらって、今、カウンターで食べている。


「みのりさん、お疲れ様」
「美味しいです、このグラタン」
「よかったわ。バイト代、後で払うわね」
「いえいえ、いらないです。英会話の練習させてもらったし」
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